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佐藤純の賭博回遊業 カジノと闇

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日本でのカジノは違法だ。これは大概の人間が知っているだろう。しかし、そのカジノが日本にいくつも有ると言う。ここ数年、アングラの箱はほとんど無くなってしまったと思っていたが、それは間違いだったとタクシー運転手になって分かった。

繁華街を運転していると、その土地のお客様が当然乗車される。その際に世間話でそれとなく尋ねると、結構な確率で情報を教えてくれる。昨夜の勤務でも、とあるお客様に情報を頂き、歌舞伎町の客引きを紹介してもらった。

入店条件はとても分かりやすい。初回の最低入金額は特に設定されていない。その代わり、サービスチップが貰えないとの情報だ。サービスが欲しければ、最低入金額10万円で2シュー以上のゲーム、1ハンドに1万円の賭けが必要だそうだが、条件的にそれは呑めない。ゲームの流れによっては数ゲームの間 『見』も必要だ。しかし、それすら許されないような条件では到底勝てる気がしない。ここではボーナスは貰わずにゲームさせて貰おうと思う。

東京、大阪、その他の主要都市にはアングラと呼ばれているカジノが存在する。人間という動物は争い、賭け事が本能的に好きな動物の様だ。それは歴史が証明してくれているだろう。戦争をするのには大義名分があるが、大将の命令で平民を使い、戦争というギャンブルをしているのだ。勝てば領土を取れ、負けたら命が奪われる。命という掛け金を払い、領土という報酬を得るギャンブルとは言えないだろうか?日本国内でも、数百年遡れば自国民同士で同様の行為を行っていたのだから笑えて来る。命がけでそんな事をする必要があるのか?俺には分からない。しかし、これが現実だ。

話が違う方向に行ってしまったようだ。紹介されたアングラの本荘に行けるのを楽しみにしておこう。

そういえば本荘で思い出した。最近知り合ったYさんが話してくれた『絞り』の事だ。

彼には、ラッシャー上に発生するタバコの灰を掃除するための 通称『コロコロ』を使ったカードの絞り方を教えてもらった。かなり勇気がいる方法だが、一度は必ず実行してみようと思う。

やり方はいたって簡単。コロコロを未使用状態でカジノに持参する(ばれない様に隠して持っていくのがミソらしい)。ここぞと言う時、おもむろにコロコロを取り出し、カードの隅にバシッと気合を入れて粘着面に押し当てる。この時、ピットボスや共闘している方が爆笑してくれたら作戦成功だそうだ。押し当てたコロコロをさらに気合を込めて前に押し出す。これにより粘着面に密着し、数字が徐々に明らかになる仕組みだ。この絞り方での一枚目テンカードからの二枚目9はカナリ熱いらしい。まあ、普通に絞ってもその状態は熱いのだが・・・。とても勇気がいる絞り方だが、かなり受けるらしい。

Yさんは、アングラや海外にてそれを何度か実行しているようだが、一度やると必ず、二度は無しと言われたそうだ。カードをコロコロから剥がすのに時間がかかり、ゲームの進行の妨げになってしまうためらしい。一度それをしてしまったカードは、間違いなくリユース出来ない。よって、カタツムリ(自動シャッフルマシーン)を採用しているカジノでは絶対にやってはいけない行為となるので、リユースをしないカジノで楽しんでほしい。

俺のギャンブル人生において、この様なお遊びをする人に会うのは初めてだった。今まで出会った人は博打を真剣にしていて、遊びと捉えている人間は居なかった。俺も同じだ。仕事として捉えていた位だからな。カジノは娯楽として楽しむものだと教えられた瞬間でもある。そう捉えれば、遊んだ対価を店に落とすのも当然か・・。

さて、今夜も深夜タクシーに乗務しなくては成らない。今回はここまでにしておこう。

この物語はフィクションです。あくまでも「読み物」としてお楽しみいただくためのものであり、インカジ(カジノカフェ)を奨励するものではありません。
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