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佐藤純の賭博回遊業 夢であって欲しかった

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長く博打を続けていると、”これはツキに見放された”と感じる場面に遭遇することがある。たらればの話になるが、「あの時おとなしくやめていれば・・」なんてことは誰にでもある話だろう。今回は、昔、某インカジにて一夜にして天国と地獄を味わった日のことを話そうと思う。

佐藤純

その日は、懐が暖かい状態で博打場に入ったので、多少なりとも心に余裕があった。普段の俺ならバカラやブラックジャックなどといった、比較的勝ちに繋がりやすいゲームを選択するのだが、資金の余裕からスロットの熱狂ロトを選択することにした。

しばらく回して気づいたのだが、前回遊んでいた人の金額設定を変更するのを忘れてしまい、1スピン9ドルの設定になっていた。「仕舞った!」と一瞬後悔したが、運よくフリースピンに突入。なんと20回転の10倍という最高のフリースピンに当選し、ボーナス終了時点で残高は2000ドルを超えていた。

入場して早々に大量の勝利金がクレジットに入ってきたのだが、アウトするにはあまりにも滞在時間が短すぎる。時間を潰す意味も含めて、ダイヤモンドバレーに移動し、5ドルベットの勝負に入る。ツキの有る時は怖いというか、流れが良いというか、ドルマークの5カードが出現し、残高は一気に5000ドルを超えた。

この時点で辞めれば現金がその場で貰えるので、辞めようと店員に引き出しを要求した所、

「店内の現金ストックが少なくなってしまい、すぐのお支払いは難しいです。本部から引き出し資金を配達させるので、15分程度待って頂けませんか?」

とのことだ。こういったことは良くある話なので、特に気にせず快諾したのだが、これが失敗だった。

配達が来るまでと軽い気持ちでゴールドラリーに手を出してしまった。これは1スピン16ドル固定なので、恐ろしいほどに減りも早い。たいして回していないのに残高は3000ドルまで落ちてしまった。この時点でゲームをやめて、大人しく配達が来るのを待てば良かったのだが、一度味わった蜜を忘れることができず、頂点に戻そうとライブバカラに移動した。

現状、罫線はプレーヤーの面になっている。このまま落ちると判断し、300ドルを一気に賭けたのだが、あえ無く撃沈。リカバリーのために、今度はバンカーに600ドルを賭けてしまった。結果は察しが付くだろうが、プレーヤーにラン。

ツキに見放されたのだろうか?全く勝てない…。最後の理性が「これ以上はもう止めておけ」とアラートを鳴らすのだが、冷静になれない俺がいる。頭はドーパミンによってだろうか、普段抑えられる欲が抑えられず、そのままゲームの続行を選んでしまった。

バカラ勝負は諦めて、ブラックジャックに移動。普段なら10ドルから50ドル程度の勝負をしているのだが、100ドルからスタートだ。初回勝利、2回目は負けて、ベット額を増額。勝てる保証なんて有りゃしないのに『早く頂点に戻さなくては』と強迫観念の様な物が頭を過ぎり、当時のマックスベット額である500ドルで勝負に入ってしまった。ここまでの流れから、この勝負の結果は予想がつくだろう?

結局ブラックジャックでも削りとられ、残高は入金額から僅かに上回った200ドルと半端に成ってしまった。この時点で諦めさえすれば、少なくても現状維持は出来たのだが、俺は馬鹿になっていた。この状態でもまだ頂点を見てしまって、ゲーム継続を選択したのだった。

残りのクレジットではライブゲームでの大勝は厳しかろうと判断し、スロットのナイトアウトに標的を変更する。賭け金を2ドル、オートスピンを400回転に設定。博打の調子も悪いが、お腹の調子も悪く成りだし、急遽トイレに飛び込んだ。

トイレを済ませ、洗面所で顔を洗って、火照った顔が冷めたところで席に戻る。恐る恐る画面を見ると・・・残高不足でキャッシャーに行くように表示されているではないか!久しぶりの大勝は、あっという間に泡と成って消えてしまった。

時を同じくして、配達されたお金は当然そのまま返却されたとの事だった。

・・・夢を有難う。

この物語はフィクションです。あくまでも「読み物」としてお楽しみいただくためのものであり、インカジ(カジノカフェ)を奨励するものではありません。ネットカフェでのインカジ利用では摘発者が頻発しています。

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