「カジノで最強の攻略法はブラックジャックのカウンティングだ」。そんな話を耳にしたことはありませんか。 確かに、場に出たカ…
ブラックジャックのインシュアランスは損?確率と期待値で徹底検証
ブラックジャックのインシュアランスとは、ディーラーのアップカードが「A」のときに選べる保険的なアクションです。賭け金の半額(テーブルによっては半額を上限とした任意の額)を支払うことで、ディーラーがブラックジャックを成立させた場合の損失を相殺できます。
一見するとリスクヘッジに使える効果的な手法のようにも見えますが、確率・期待値・還元率(RTP)を計算すると、インシュアランスは長期的に見て損をするアクションです。
この記事で分かること
- インシュアランスの成功確率は約30.8%(3回に1回程度)
- 成功しても損益はちょうどゼロで、利益にはならない

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ブラックジャックのインシュアランスとは?

インシュアランスの基本的な仕組みと配当
インシュアランスとは、直訳すると「保険」という意味を持つ、ブラックジャックのアクションの一つです。
ディーラーのアップカード(表向きに配られたカード)が「A(エース)」だった場合にのみ選択できるアクションで、ディーラーがホールカード(伏せられたもう1枚のカード)でブラックジャック(A+テンカード=合計21)を完成させてしまうリスクに備え、あらかじめ保険を掛けておくことができます。
- ディーラーのアップカードが「A」の場合、プレイヤーにインシュアランスを掛けるかどうかの選択が提示される
- プレイヤーは、元の賭け金の半額までを保険として追加でベットできる
- ディーラーがブラックジャック(A+テンカード)を完成させた場合 → 元の賭け金は没収されるが、インシュアランスの賭け金には賭け金を含めて3倍(2対1)の配当が付く
- ディーラーがブラックジャックを完成させなかった場合 → インシュアランスの賭け金は没収され、通常どおり勝負が続行する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 元の賭け金 | 10ドル |
| インシュアランスの賭け金(半額) | 5ドル |
| ディーラーがブラックジャック達成時の配当 | 賭け金を含めて3倍(2対1)=15ドルの払い戻し(利益10ドル) |
| ディーラーがブラックジャック不達成時 | インシュアランスの5ドルは没収、通常勝負へ |
仕組みだけを見れば、ディーラーのブラックジャックによる負けを帳消しにできる合理的な選択に見えます。
しかし、この仕組みが本当にプレイヤーにとって得なのかどうかは、「どれくらいの確率で成立するのか」「期待値はプラスなのかマイナスなのか」を計算してみなければ判断できません。
インシュアランスの成功確率と期待値を計算する
インシュアランスが成功する確率
インシュアランスが成功する条件は、ディーラーのホールカード(伏せ札)が「10・J・Q・K」のいずれか=テンカードであることです。
トランプは「A・2〜9・10・J・Q・K」の13ランクで構成され、そのうちテンカードは「10・J・Q・K」の4ランクです。オンラインカジノのライブブラックジャックで標準的な8デッキ(416枚)ならテンカードは128枚。ディーラーのアップカードのAがすでに場に出ているため、残り415枚が母数になります。
成功確率 = 128/415 ≒ 30.8%
つまり、インシュアランスが成功するのはおよそ3.2回に1回で、残り約7割は失敗する計算になります。
確率は使用するデッキ数や、すでに場に出ているカードの枚数によって多少変動します。6デッキなら96/311で約30.9%、1デッキなら16/51で約31.4%です。なお「テンカードは13ランク中4ランクだから4/13=30.77%」という説明も見かけますが、これはデッキ数が無限にあると仮定した近似値で、8デッキの30.84%とはわずかに異なります。
期待値の計算式と結果
次はこの数字から「期待値(EV:Expected Value)」を求めます。期待値とは、その行動を長期的に繰り返した場合に平均してどれくらいの損益になるかを示す指標です。
期待値 E =(成功確率 × 成功時の利益)+(失敗確率 × 失敗時の損失)
インシュアランスは「2対1」で配当されるため、成功時の利益は賭け金の2倍、失敗時の損失は賭け金と同額です。先ほど算出した確率(128/415 ≒ 30.8%)を当てはめると次のように計算できます。
期待値 E =(0.3084 × +2)+(0.6916 × −1)
= 0.6168 − 0.6916
= 約−0.075(−7.5%)
インシュアランスの期待値はマイナス約7.5%という結果になりました。これは、「インシュアランスに100ドル賭け続けた場合、長期的には平均して約7.5ドルの損失になる」ということを意味します。言い換えれば、インシュアランスというベットには約7.5%ものハウスエッジ(控除率)が設定されているということです。
「当たれば損失を帳消しにできるのだから、悪くても引き分け程度だろう」と思われがちなインシュアランスですが、数字で見ると明確にプレイヤー不利なベットであることが分かります。
還元率(RTP)とハウスエッジ(控除率)で見るとどれくらい損なのか
期待値のマイナス幅を、「還元率(RTP)」という指標に置き換えます。RTPは「Return To Player」の略で、賭け金に対してプレイヤーへ払い戻される割合を表します。
| ベットの種類 | 還元率(RTP)の目安 |
|---|---|
| ブラックジャックのメインベット (ベーシックストラテジー使用時、一般的なルール条件下) |
99.5%前後(条件により99.3〜99.6%) |
| インシュアランス単体 | 約92.5% |
インシュアランス単体の還元率(RTP)は約92.5%。同じテーブルで選べるメインベットの99.5%前後と比べると、7ポイント低い水準です。ハウスエッジ(控除率)で比べるとメインベットが約0.5%、インシュアランスが約7.5%なので、同じ1ドルを賭けても長期的な目減りは15倍前後変わる計算になります。
インシュアランスの4パターン別損益シミュレーション

前章で計算した期待値(マイナス約7.5%)を、より具体的な金額でイメージできるよう、実際に起こりうる4つのパターンに分けて損益を確認します。
元の賭け金を10ドル、インシュアランスの賭け金をその半額の5ドルとした場合の例で解説します。
| パターン | インシュアランス使用時の損益 | 不使用時の損益 |
|---|---|---|
| ①インシュアランス的中+ディーラーに負け | ±0ドル | −10ドル |
| ②インシュアランス失敗+ディーラーに勝ち | +5ドル | +10ドル |
| ③インシュアランス失敗+ディーラーに負け | −15ドル | −10ドル |
| ④プレイヤーがブラックジャック | ④の表を参照 | |
なお「インシュアランス的中+ディーラーに勝ち」という組み合わせは表にありません。インシュアランスが的中する=ディーラーのブラックジャックが成立するということなので、プレイヤー自身がブラックジャックでない限り、メインベットは必ず負けになるためです。
①インシュアランス的中+ディーラーに負け

ディーラーのホールカードがテンカードでブラックジャックが成立し、プレイヤーが(通常の)負けとなるパターンです。
- 元の賭け金:−10ドル(没収)
- インシュアランスの賭け金:−5ドル
- インシュアランスの払い戻し:+15ドル(2対1=賭け金を含めて3倍)
- 合計損益:±0ドル
このパターンに限れば、インシュアランスを使ったことで10ドル分の損失を防げたことになります。インシュアランスが「保険」として機能するのは、実質的にこのケースだけです。
②インシュアランス失敗+ディーラーに勝ち

ディーラーのホールカードがテンカード以外で、通常のゲームでプレイヤーが勝利するパターンです。
- インシュアランスの賭け金:−5ドル(没収)
- メインベットの勝利配当(1対1):+10ドル
- 合計損益:+5ドル
インシュアランスを使った分だけ、得られたはずの利益が5ドル減ってしまったことになります。
③インシュアランス失敗+ディーラーに負け

ディーラーのホールカードがテンカード以外で、かつプレイヤーがメインベットでも負けてしまうパターンです。
- インシュアランスの賭け金:−5ドル(没収)
- 元の賭け金:−10ドル(没収)
- 合計損益:−15ドル
インシュアランスを使った分だけ、損失が5ドル余計に膨らんでしまったことになります。
なお、そもそも「A」を含むディーラーのハンドはブラックジャック以外でも比較的強いハンドになりやすい傾向があります。そのため実戦では、このパターン(インシュアランス失敗+メインベットでも負け)がもっとも起こりやすく、かつ最大の損失につながるという点に注意が必要です。
④プレイヤーがブラックジャック

プレイヤー自身が最初の2枚でブラックジャック(合計21)を達成しているケースです。
この場合、選択できるのは正確には「インシュアランス」ではなく、次章で解説する「イーブンマネー」というアクションになります(プレイヤーが勝ち確定の状況で、配当を先に確定させるかどうかの選択のため)。
| ディーラーの結果 | イーブンマネー使用時 | 不使用時 |
|---|---|---|
| ディーラーもブラックジャック | +10ドル(1対1配当を確定) | ±0ドル(プッシュ=引き分け) |
| ディーラーがブラックジャックでない | +10ドル(1対1配当を確定) | +15ドル(通常配当3対2) |
イーブンマネーを使うと常に+10ドルが確定しますが、使わない場合は「ディーラーがブラックジャックにならなければ+15ドル」というより大きな利益のチャンスを残せます。
インシュアランスとイーブンマネーは結局やるべきか
「④プレイヤーがブラックジャック」の項目で触れたとおり、プレイヤー自身がブラックジャックを達成している状態でディーラーのアップカードが「A」だった場合には、インシュアランスではなく「イーブンマネー(Even Money)」という選択肢が提示されます。
イーブンマネーは、名前こそ違いますがインシュアランスの一種と考えて差し支えありません。「ディーラーがブラックジャックを完成させるかどうか」という不確定要素に対し、確定した配当を選ぶことでリスクを回避する発想はインシュアランスと同じだからです。
- 本来、プレイヤーがブラックジャックで勝利した場合の配当は3対2(賭け金を含めて2.5倍/利益は賭け金の1.5倍)
- しかしディーラーもブラックジャックだった場合はプッシュ(引き分け)=配当なし
- イーブンマネーを選択すると、結果を確認する前に1対1(賭け金を含めて2倍/利益は賭け金と同額)の配当を確定できる
つまり「3対2の配当を狙って賭けに出るか」「1対1の配当を確実に受け取るか」というトレードオフの選択です。
イーブンマネーを使う場合と使わない場合の期待値を比べる
インシュアランスもイーブンマネーも基本的には使わないほうが、長期的な期待値は高くなります。
| 選択 | 計算内容 | 期待できる利益 |
|---|---|---|
| イーブンマネーを使う | 確率に関係なく常に1対1配当 | 確定+10ドル |
| イーブンマネーを使わない | (0.3084×0ドル)+(0.6916×15ドル) | 期待値+10.37ドル |
使う場合は常に+10ドルが確定しますが、使わない場合は約30.8%でプッシュ(配当0ドル)、約69.2%で3対2の配当(利益+15ドル)となり、平均すると+10.37ドルです。つまり、イーブンマネーを使わないほうが期待値は約3.7%高くなるという結果になります。
なお、イーブンマネーは期待値をわずかに下げる代わりに結果の振れ幅(分散)をなくす選択です。資金の変動をどうしても抑えたい場面に限っては、選択肢に入る余地があります。
厳密には、この時点で山札からプレイヤーのブラックジャック2枚とディーラーのアップカード(A)の計3枚が除外されるため、母数は413枚(テンカードは127枚)になります。確率は約30.8%で変わらず、期待値の差も小数第2位に収まる程度です。以降の計算も128/415を基準に統一しています。
例外的にインシュアランスの期待値がプラスに転じる条件
ただし、ごく限られた条件のもとでは、この期待値がプラスに転じる可能性もゼロではありません。
カードカウンティングでテンカードの残数が多いと判明している場合
これまでの期待値の計算では、山札に含まれるテンカードの比率が通常どおり(13種中4種)であることを前提にしていました。
しかし、カードカウンティングによって「残りの山札にテンカードが通常より多く残っている」と判明している状況では、インシュアランスの成功確率が3分の1(約33.3%)を上回り、期待値がプラスに転じる理論的な可能性があります。
ただし、これはあくまで理論上の話です。オンラインカジノのライブテーブルはシューの浅い段階でシャッフルされるものが多く、カウンティングが疑われるプレイヤーへのベット制限やアカウント制限が設けられている場合もあるため、実践のハードルは非常に高いのが実情です。
インシュアランスの使い方

オンラインカジノでプレイする場合を想定し、インシュアランスを選択する手順を追って説明します。
インシュアランスを選択する5つの手順
①カードが配られる
プレイヤーとディーラーにそれぞれ2枚ずつカードが配られます。プレイヤーのカードは表向き、ディーラーは1枚が表向き(アップカード)、もう1枚が裏向き(ホールカード)の状態です。
②ディーラーのアップカードが「A」になる
アップカードが「A」以外であれば、この選択自体が現れません。
③画面にインシュアランスの選択が表示される
オンラインカジノでは、「Insurance?」といった表示とともに「Yes」「No」のボタンが画面に表示されます。ランドカジノの場合は、ディーラーから口頭で意思確認があり、賭ける場合はチップをテーブルの指定エリアに置きます。
④賭けるかどうかを選択する
「Yes」を選ぶと元の賭け金の半額が自動で追加ベットされます(例:賭け金10ドルなら5ドル)。「No」ならそのままゲームが進行します。
⑤ディーラーがホールカードを確認し、結果が確定する
ホールカードがテンカードなら的中、それ以外なら失敗です。配当と損益は前述の「インシュアランスの基本的な仕組みと配当」のとおりです。
このように、インシュアランスの選択自体は「Yes/No」を選ぶだけのシンプルな操作です。操作に迷わないための知識として押さえつつ、実際の判断は数字(期待値マイナス)に基づいて行いましょう。なおベーシックストラテジー上も、インシュアランスは選ばないのが基本です。
まとめ:インシュアランスは基本的に避けるのが賢明
インシュアランスを確率・期待値・還元率(RTP)の3つの面から検証した結果をまとめます。
- 成功確率は約30.8%(8デッキで128/415)で、成功する可能性のほうが低い
- 期待値は約−7.5%で、長期的にはプレイヤーが損をする仕組み
- 還元率(RTP)は約92.5%で、メインベットの99.5%前後より7ポイント低い
- シミュレーションでも、損失を防げるのは「的中+メインベットで負け」の1パターンのみ
- プレイヤーがブラックジャックの場合の「イーブンマネー」も同様に期待値マイナス
インシュアランスは「保険」という名前の安心感とは裏腹に、数学的には避けるべきアクションです。カードカウンティングでテンカードの偏りを把握できているといった例外を除けば、ディーラーのアップカードが「A」になっても手を出さず、通常のゲームに集中するのが賢明です。
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